(1924年11月出版)

No. 31(4.1)大廣場の夏(大連)

大連大廣場のローン、グラウンドは翠綠の毛氈のやらに初夏の光に輝いて居る。帽影傘色その間を縫うて行人の裝ひも輕やかに見える。そしてヤマトホテルのルーフガーデンにはオーゲストラが流れ、紅色の電光が輝き夏の夜を飾る唯一の納凉場を開展する。

夏日的大广场(大连)

大连大广场的草坪在初夏阳光下宛如翠绿绒毯般闪耀。穿梭其间的帽影伞色与行人轻盈装束相映成趣。大和宾馆屋顶花园流淌着管弦乐声,红色霓虹点亮夏夜,这里堪称最富情调的纳凉胜地。

No. 32(4.2)大連市浪速町通り(大連)

大連市中の最も繁華な小賣商店區域で每夜街頭に夜店が立って繁華を極める。

大连浪速町通(大连)

作为大连最繁华的零售商业区,每夜街头摊贩云集,盛况空前。

No. 33(4.3)沙漠の日の出(蒙古)

蒙古包の中に暫し假寢の夢さめた旅人達は、地上未だ夜の影の匍ふ間に、またしても沙漠の旅途を急ぐ。看よ、東方漠々たる沙原のかなた、黎明の空は芙蓉色に染め出されて日の出を待つ沙漠の空氣はプリズムの如く淸い。

大漠日出(蒙古)

蒙古包中短暂假寐的旅人醒来时,大地仍笼罩在夜色中,便又匆匆踏上沙漠征程。看啊!东方苍茫沙原尽头,芙蓉色浸染了黎明天空,等待日出的沙漠空气如棱镜般澄澈。

No. 34(4.4)オボ(蒙古)

蒙古族にはそれぞれの旗と呼稱する各蒙古王族、屬領地かある。その境界を划する標基をオボと稱して居る。

駱駝の瘤ごオボのコントラストが面白い。

敖包(蒙古)

蒙古各王族领地被称作旗,其边界标志物称为敖包。

骆驼隆起的驼峰与敖包的轮廓构成趣味对比。

No. 35(4.5)千山龍泉寺(千山)

双语《亞東印畫輯》第4回

千山の寺廟中一番大きいものは龍泉寺と云ふ。寫真は同寺の全景である。

千山龙泉寺(千山)

千山寺庙群中规模最宏大的当属龙泉寺。此照片呈现该寺全景风貌。

No. 36(4.6)水稻の收穫(風俗)

滿洲にも近頃水田が出來て立派な米が穫れるやうになつた。最初支那人は水田た作る事た知らなかつたが此の頃では盛んに耕作をやり出しだ。滿洲米の產額は昨今約七十萬石と謂はれて居る。

水稻丰收(民俗)

近来满洲亦开辟水田产出优质稻米。起初汉人不知水稻种植,如今已广泛耕作。据悉现今满洲大米年产量约七十万石。

No. 37(4.7)滿洲の娘(風俗)

娘十七八戀知る頃は美しい。前髪を厚く切下げて額を深くかくした下には、柔かいニつの瞳は何ものかの幻影を追ふて輝いて居る。水色の大掛兒の下に鵓色の褲子を穿いた彼の女の姿は、曠野に見出さるゝ一つの自然美であらねばならぬ。

满洲少女(民俗)

十七八岁情窦初开的少女最是动人。浓密刘海下,柔媚双眸闪烁着追寻幻梦的光彩。天青罩衫配鸽灰长裤的倩影,堪称旷野中绽放的自然之美。

No. 38(4.8)石臼を挽く驢馬(風俗)

支那の農家では家畜た色々な動力として利用することはなかなか巧みである。驢馬が口も眼も全く隱されて石臼の圍りた四六時中神妙に勞役に服して居るのは如何にも可憐である。農婦はあの小さい足を、チヨコチヨコさせつつ驢馬た馭し乍ら高粱や蕎麥の粉た挽かせて居るのも美しいコントラストだ。

推磨毛驴(民俗)

中国农家善用牲畜作为动力。这头被完全蒙住口眼的毛驴,终日围着石碾默默劳作的模样令人怜惜。农妇踏着小脚驱赶毛驴碾磨高粱荞麦的画面,亦构成了独特之景致。

No. 39(4.9)赤い哈爾賓ステーション(北滿)

今は早や赤露の旗下に支配せらるゝ東支鐵道の中央ステーションとしての哈爾賓は、日本に取つても伊藤公の死た懷想せしむる深い印象がある。歐亞兩民族の勢力が接衝交錯する國際地點たる哈爾賓の價值は兎に角として一度あの青い光にポカされた夜のプラットホームに降り立つた旅人は、構内のあわただしい雜沓の彼方に聖像た祭るかすかなる蠟燭のゆらめきを目にしたとき云知ひれぬ旅情の寂しさを感ずるであらう。

赤色的哈尔滨站(北满)

这个已归赤俄管辖的中东铁路枢纽站,总令日本人追忆起伊藤公遇刺之往事。作为欧亚势力交汇的国际都市,当旅客踏上蓝光笼罩的月台,望见站内喧嚣尽头的圣像前摇曳之烛火时,自会体味难言的行旅寂寥。

No. 40(4.10)哈爾賓市街(北滿)

露西亞が五十年前極東に手た延ばして松花江畔の一地點た選定したとき今の哈爾賓は唯だ蘆荻の中に見出された一個の渡航場に過ぎなかつた。然るに東支鐵道東西南各線の中央集合地點として、西歐文明の一大文化都市が碁年ならずして現顯し、何事にもニチオーの露西亞人氣質は時代が白に變らうが赤にならうが音樂と酒と女の耽溺の世界を實現してゐる。

哈尔滨街景(北满)

五十年前俄国向远东扩张择定松花江畔时,哈尔滨不过是芦苇荡中的渡口。随着中东铁路各线在此交汇,这座西欧文明孕育的都市迅速崛起。无论时代如何更迭,嗜好音乐、美酒与女人的俄侨们总在创造着他们的醉梦人生。

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